コウメノハナレ 一棟貸し
東山三条で築100年を越える古い町家の物件です。躯体と屋根、階段以外は全て取り替えた一棟丸ごと弊社でリノベーションさせていただきました。
もともと1階は小さな玄関と小さな窓しかなく、室内も4.5帖程度の洋間とその先にテーブルがギリギリ置けるくらいの板間とキッチン。狭い階段を上った2階には6帖と3帖ほどの和室がありました。
まずはできるだけ空間が広く見えるように、室内に坪庭を設けたいと思ってプランニングしていました。しかし、どうしても居室スペースが狭くなってしまうので、思い切って1階の壁を取り払い、珍しい形のガラスブロックをレンガ積みにして壁にすることにしました。そこに小さな庭を作り、室内との境目には大きなガラス戸を入れました。これで暗かった1階に日差しが入るようになり、さらに、空間としても広く使うことが可能になりました。1階の壁には年月を経ていい風合いになった柱を見せて真壁に、床は使えば使うほどに節が際立ち味が出るようにとクリアの杉板を使いました。
次に2階。部屋を暗くしていた低い天井は全て取っぱらい、勾配天井に。これで2階もかなり広くなりました。襖で仕切られていた2つの部屋の間は、床の高さを合わせて空間としては1部屋になるように。床を畳と板間にすることでメリハリをつけました。また、もともと奥側に使われていた素敵な木の建具は、道に面した方に取り替えて日の目を浴びるようにしました。
一棟貸しとして始められることもあり、訪れる方に楽しんでもらえる仕掛けもたくさん作りました。まずは、玄関戸。これは古建具のくぐり戸を仕入れました。少し加工して宿のロゴを入れつつ、全面にガラスを入れました。ちゃんと小さい方の戸からも出入りできます(笑)次は、最初は壊そうかと考えていた細い階段を、京町家を楽しんでもらうためにそのまま使いました。通常の人でも肩を狭めて通るくらいの狭さですが、モダンな1階から頑張って階段を上がると、2階は”和”の空間が広がっている、そういう演出にもなるかなと思っています。プラスチックだった手すりは真鍮にしてアクセントにしました。
最後に外壁。古建具のくぐり戸とインパクトのあるレンガ積みのガラスブロック、それらとうまく融合しつつ、人目を惹くデザインにしたく、1階部分は焼杉といい感じに錆びていくアイアンの庇を。2階はガラッとイメージを変えて、墨汁を混ぜた土壁を左官で仕上げました。また照明も、庇の下にテープライトを仕込みました。
お施主様もとてもこだわったアンティーク家具を揃えていただき、全体的にクラシックとモダンが融合したスペースに仕上げられました。
リノベーション概要
物件名 | コウメノハナレ 一棟貸し |
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竣工時期 |