妄想物件物語

MACHIYA

物語⑥ Bの場合 京都市上京区下立売通プロジェクト

今回の主人公
B氏
職業:SE(システムエンジニア)
京都市内在住の35歳、独身。
半年に一回会う遠距離恋愛の彼女あり?
植物好きの超マイペースな男性で
意外に細マッチョ。

ビカクシダハウス ~new way of house~

彼の名前はB。歳は35歳になったばかりの男だ。
Bはかなりの自分軸で生きている。好きなゲームをしている時には、トイレに行く暇も惜しみ空のペットボトルで済ませるほどだ。
そんなBの話によると、付き合って2年になる半年に一回会う遠距離恋愛中の彼女がいるらしい。でもまだ、誰もその彼女に会ったことはない。
ゲームの他には、オリジナル筋トレの開発と植物を育てる事が大好きで、中でも今は特に“ビカクシダ“にハマっているそうだ。
何故か彼女の話を聞くと死んだ魚のような表情をしているのに、ビカクシダに関しては瞳を輝かせ早口で説明をしてくるB。
うっすらと、誰が興味あるねんと心の中で突っ込んだことはさておき。
その独特な姿形から、一部の界隈で人気のあるビカクシダ。品種によってはこの葉の凹凸が非常に美しく、観賞ポイントになるとの事。
その魅力に取り憑かれた1人がそう、Bである。

その“ビカクシダ“とやらは高温多湿に強く、耐陰性もあるため、室内の日光が入る場所が良いらしい。
なぜなら、日光が当たった方が健康な株になるので、なるべく日光が当たる場所に置くのが理想なのだか、直射日光を当ててしまうと、刺激が強すぎて葉焼けを起こしてしまう上に、 品種によって遮光率が変わってくるので程よい管理をしなければならない。
手入れ方法を聞いていると、まあまあな感じでややこしそうではないか。知らんけど。
そしてBが言うには、どうやら今の住まいではいよいよ限界に来ている、ということらしい。
そこでBは考えた。もっとビカクシダを中心に考えられた、植物に心地よい「ビカクシダ ハウス」に引っ越そう!と。

それよりも、遠距離の彼女をどうにかしたほうがええよと言いたいところだが、そこはぐっとこらえる。

Bとしては、今の住み慣れている街を離れることはあまりしたくなく、新しいコミュニティを開拓する労力はできれば避けたいそうで。
そんな時間があるのであれば、ゲームや植物、筋トレと言った趣味に注ぎ込みたいとBは考える。
もう、ここまでくると本当に彼女がこの世に存在するのかどうか怪しいところではあるが、ひとまずはBを信じてみよう。
普段から近場で条件を満たすような物件はないかと、通勤時に目を光らせてはいるものの、素人ではおいそれと見つけることはできない。
LED発光するキーボードでお得意のネット検索をしていると、個性的なリノベーションを紹介している不動産サイトにヒットすることができた。

京都の会社のようで、一度門を叩いてみようと思ったBは早速問い合わせをしアポを取った。いつもはスローなBだがビカクシダに関しては、驚くほど積極的だ。その情熱を、彼女に向けたらいいのにと誰もが思っているという事は、ここだけの話。

ビカクシダ中心の理想の一軒家を探している事を、相変わらずの熱量で説明するB。出来れば、今住んでいる所からあまり離れていない市内で、何とかならないものか、あと狭くてもイイので筋トレスペースも忘れずに。
窓口になってくれた爽やかな笑顔の担当者は、快く引き受けてくれた。そして一週間後、Bの元に担当者から連絡が来た。上京区でリノベーションをする物件があるらしい。

そんな訳で早速、下見を兼ねて観に行く事になった。